モンブランKOBE


スイーツストーリー11
エドワード7世 絵
偉人 エドワード7世

魅惑のデザート創作に貢献した英国国王

 英国の皇太子アルバート・エドワード(後のエドワード7世)の一生は波乱に富んでいました。1841年にビクトリア女王の長男として生を受けたエドワードは、若い頃から派手好きでパーティーが大好き。女性との噂も絶えず、妻のアレクサンドラや母親であるビクトリア女王との仲はいつもぎくしゃくしていたと言われています。
そんな彼が王位に就いたのは、なんと60歳の時。英国の歴史上、もっとも長い皇太子生活を送り、ようやく王になったエドワードは、その後たぐいまれな外交手腕を発揮します。即位の翌年には英仏協商を、その3年後には英露協商を締結。「ピースメーカー」と称されました。
クレープ・シュゼットが生み出されたのは、彼が即位前にヨーロッパをはじめ、世界各地を漫遊していた時のこと。モナコのモンテカルロを訪れた折、一人の女性を連れてカフェに入ったエドワードに出されたのが、ここに紹介するクレープのデザートでした。作ったのは名パティスィエとして名高いアンリ・シャルパンティエ。皇太子の連れの女性がフランス人であったことから、クレープにコニャックを加え、フランベ(酒を振りかけて火を付け、アルコール分を飛ばし風味をつけること)したとか。「クレープ・シュゼット」という名は、このデザートに感動した皇太子が、連れの女性の名シュゼットからとったとも言われていますが、真相はいま一つはっきりしません。
 ただし、エドワード皇太子がモナコを訪れなければ、この魅惑のデザートが誕生することはなかったはず。クレープをロマンチックなデザートに変身させるきっかけを作ったエドワード7世は、「ピースメーカー」であっただけでなく、希代の「デザートメーカー」でもあったのです。
スイーツエピソード クレープ・シュゼット

「聖母マリアお清めの日」に焼いて供されたのが始まり

 フランスを代表するアントルメのひとつ、クレープ crêpe。流動状のタネを薄くちりめん のように焼いたもので、「絹のような」という意味を持っています。
 パリでは、多くは街角で1坪あるかないかほどの囲いを作り、ジャムやバターを塗った り、あるいは粉糖をふりかけて道行く人に供しています。大西洋岸のブリュターニュ地方 に行くと、ここはクレープの名産の地とされ、街中にクレープリー crêperie と称するそ の専門店があり、メニューも豊富に揃っています。甘いものからチーズやハム、ソーセ ージ等を入れたものまで、ざっと数十種。パリのような立食形式もないことはありません が、ここではちゃんと座るレストラン風が主流です。
 言語学的にこのクレープ crêpe をみてみると、中世のイギリスのクレスプ cresp、また はクリスプ crisp から転じたとされるもので、フランスでは別にパヌケ pannequet とも呼 んでいます。これは英語のパンケーキ pancake に通じる言葉でもあります。
 クレープの歴史を振り返ると、16世紀頃に始まったといわれ、2月2日の「聖母マリアの お清めの日」に焼いて供されたことが発端とされています。この日はシャンドルール chandeleur と呼ばれ、日本語では聖燭祭と訳されています。当日は、信者たちがキャン ドルに火をともして行進するイベントが行われます。
 こうした意味合いから発展して、この日は遊びの要素が大きなウェイトを占めてきまし た。フランスでは、クレープを使って運試しが行われます。まず、右手に金貨、左手にク レープの入ったフライパンを持つ。そして、焼けたクレープ生地を空中高く放り上げる。 それをうまく元のフライパンに戻すことができたら、この年は幸運が訪れ、またお金に困 らないとされています。うまくいかなかったらどうなる? なあに、もう一度やればいいだ けのこと。
 さて、そんなクレープですが、生地がニュートラルなだけに、いろいろなメニューが組 み立てられます。アイスクリーム仕立てにすれば、アントルメ・フロワ entremets froids と呼ばれる冷製デザートに、熱々のフルーツソースやチョコレートソースをかければア ントルメ・ショー entremets chauds という温製デザートに。そして、前述したごとく、ハム やソーセージ、あるいはポテトなど野菜と組み合わせたものまで変幻自在にその役回り をこなします。すなわち、オードブル、アントレからメインディッシュ、そしてデザートに至 るまですべてをこなすオールラウンドプレーヤーなのです。
 ここに取り上げたクレープ・シュゼット crêpe suzette は、数ある中でも、アントルメ・シ ョー、すなわち温製デザートの代表格とでもいったスイーツです。どうぞ、熱々のオレン ジソースが冷めないうちに召し上がれ。
 そうそう、灯りを落とした部屋で、ふりかけたリキュールを燃え上がらせる演出も忘れず に。ますますすてきなムードがかもし出されること請け合いです。


文献:吉田 菊次郎 編・著 「クリムとドリムの冒険」偉人が愛したスイーツ
クレープ 絵

トップ | 商品紹介 | キャンペーン | 店舗紹介 | スイーツ物語 | 会社概要 | リクルート | お問合わせ
copyright(C) Mont-Blanc co.ltd.All right reserved.
Designed by CEALS