モンブランKOBE


スイーツストーリー6
織田信長 絵
偉人 織田信長

戦国時代の武将、織田信長。
        異国の菓子に舌鼓を打つ!?

 戦国時代を代表する武将、織田信長は、天文3年(1534年)に、尾張国の戦国大名・織田信秀の三男として生まれました。1582年に本能寺の変で命を落としてから既に400年以上もの時が経過していますが、いまも人気は高く、NHKの大河ドラマでは何度も取り上げられ、ゲームソフト「信長の野望」シリーズにも熱狂的なファンがついています。
  若い頃には「尾張のうつけもの」と呼ばれながら、長じてからは独創的な戦略的采配で天下統一の先駆けとなった信長は、日本で最も人気のある歴史上のヒーローの一人といっても過言ではありません。
  織田信長は西洋文化に強い関心を持っていたことでも知られています。1549年にスペイン人の宣教師フランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸してからというもの、多くの宣教師や貿易商人たちが日本を訪れ、時の権力者にお菓子をはじめとする西洋の品々をたくさん献上していました。
織田信長のもとには、1569年にポルトガルの宣教師、ルイス・フロイスが訪れ、フラスコ入りのコンペイトウやろうそくなどを贈ったとか。好奇心旺盛な彼は、これらの珍しい品々をことのほか喜んだとされています。
  この時代に渡来したカステイラ(カステラ)やコンペイトウは南蛮菓子と呼ばれ、ほかにもボーロやビスカウト(ビスケット)などさまざまな菓子が上陸しました。ケジャトもその一つ。信長がケジャトを食べたという記録は残っていませんが、楽市楽座を開き、関所を廃止するなど、革新的な制度や事業を次々に導入しただけでなく、戦場では南蛮鎧やビロードのマントを身に付けていた「新しいモノ好き」「南蛮好き」だった彼のこと。誰よりも先にケジャトを口にしていた――なんて考えると楽しくなりませんか。
スイーツエピソード ケジャト

南蛮菓子いろいろ

 東夷西戎南蛮北狄。まことにもって中華思想の権化のような言葉です。その大陸文化をお手本として学んできたわが国も、新たに知った西欧世界を、唐、天竺のさらに南の野蛮な地として、本家に習い南蛮と称しました。思えば不遜な表現ですが、そう呼ばれたスペインやポルトガル、あるいは紅毛とされたオランダやイギリス等からは、それまでとはまったく違った文物、文化が流れ込んできました。「南蛮物」と呼ばれたそうした多くの中には、見るも珍しいお菓子の一群もありました。大阪城医を務めていた寺島良安という人が正徳3(1713)年に著した、当時の百科事典とも言える『倭漢三才図会略』や、西川利休(如見)の手になる享保5(1720)年の『長崎夜話草』、あるいは享保3(1718)年の『古今名物御前菓子秘伝抄』といった江戸中期の書物に、都合18種の南蛮菓子を読み取ることができます。すなわち、おなじみのカステイラ、ボーロ、コンペイトウをはじめ、ハルテイ、コスクラン、ケサチヒナ、ケジャト、アルヘル、カルメル、オベリヤス、パアスリ、ヒリョウズ、オブダウス、玉子索麺、ビスカウト、ハン、チチラアト、およびタルタです。
 ただ、ビスカウトはビスケット、アルヘルはアルヘイトウで飴の一種かと、すぐに察しのつくものもあれば、どう想いを巡らせても見当のつきかねるものも少なくありません。
 さて、そこでこのうちのケジャトですが、いかなるものか調べるのに少々手こずりました。はじめは、スペインで古くより伝えられている素朴なクッキーの一種のガジェータ galleta あたりがなまったものとも思いましたが、どうもそうではなかったようです。筆者が過日、ポルトガルを訪れた折、やっとその手掛かりを得ることができました。その名もケイジャーダ queijada なるチーズケーキの類を見つけたのです。ケジャトとケイジャーダの相似形。これは、ガジェータに結びつけるより無理がありません。実物はナチュラルタイプのチーズクリームに卵と砂糖を加え、シナモン で香りをつけて焼き上げたものです。
 ですが当時、本当にこうしたチーズが運ばれたのでしょうか。日本人が既にしてこのチーズケーキを口にできたのか、何とも申し上げられません。ただ、ことのほか新しいもの好きで、西欧のものなら何でも興味を示した、時の天下人、織田信長あたりなら、ひょっとして誰より先駆けて口に運んだだろうことは、容易に察しのつくところです。
 しかしながら、バターや牛乳でさえ、その匂いや風味に良い印象を持たない人の多かった当時の状況からみて、それよりさらにクセのあるチーズ はやはり口に合わなかったのでしょう。結果、ほどなく消えてしまったようで、いつしか人々の口の端にさえのぼらなくなってしまいました。
 さて、ここにご紹介するケジャト、当時のものとまったく同じかと問われれば答えに窮しますが、まずはご賞味あれ。これにより、かつて信長が想いを広げた世界の一端を、いくらかでも感じ取っていただけたら幸いです。

文献:吉田 菊次郎 編・著 「クリムとドリムの冒険」偉人が愛したスイーツ
ケーキ ケジャト 絵

トップ | 商品紹介 | キャンペーン | 店舗紹介 | スイーツ物語 | 会社概要 | リクルート | お問合わせ
copyright(C) Mont-Blanc co.ltd.All right reserved.
Designed by CEALS